夏の小袖

読んだ本、活動の記録など

ホラーとミステリの差異について

私は、小説はミステリを主に読んでいるのですが、たまにホラーを読みたくなることがあります。ただ、人生で読んだホラー小説家は、おそらく10作に満たないと思います。

ホラーとミステリの違いは、人によって意見の別れるところでしょう。違いは明らかだと言う人も多いでしょうが(私の周りだけ?)、曖昧に感じている人もいると聞きます。では、サスペンスやスリラーはどうでしょうか。
ホラーとサスペンスだと、別の物だと言う人や、重なる所のある別の部分集合だと言う人などがいると思います。スリラーという言葉は、日本ではメジャーではないようです。

日本だと、ミステリとサスペンスの違いがよく取り沙汰されますね。いつだったかどこかの書店で、犯人が最後に分かるのがミステリで、最初から分かっているのがサスペンスだ、というポスターが貼ってありました。ですが、倒叙ミステリもありますし、サスペンスだって最後まで犯人が分からないものもあります(もっともそのポスターは1度しか見ていないので、不評だったのかもしれません)。

サスペンスというと、二時間ドラマというイメージの人も多そうです。サスペンスを謳った方が、視聴者が増えるのでしょうか。謎解きよりスリリングな展開の方が触れやすいということもあるかもしれません(thrillingもthrillerもthrillの派生でしょう)。
ミステリとサスペンスも、重なり得る別の部分集合なのでしょう。ミステリであり、サスペンスでもある作品というのはありますからね。

では、ホラーとミステリはどう違うのでしょうか。
恐怖が主体ならホラーで、謎解きが主体ならミステリでしょうか。どうもそれだけではないような気がします。
この二つも、重なりうる部分集合であると捉えらることがあります。ただ、完全に重なる訳ではない。では、なぜ完全に重ならないのか。

私は、ミステリは謎を氷解させ、秩序を戻そうとする物語だと考えています。ホラーは(私は詳しくないのですが)理不尽な混沌に襲われる物語なのかな、と想像しています。

しかし、その二つの指向性が重なることで、別方向へのベクトルになることもあるようです。
ミステリでもホラーでもある。しかもその二つの要素無くしては成立し得ない物語というものもあります。また、最後まで読むことでミステリかホラーか分かる物もあります。最後まで読んでも分からない物もあります。

ちなみに、本格ミステリというとまた別で、さらに込み入った話になりますし、後期クイーン的問題まで持ち込むと、もっと複雑な話題になります。それは今は書きません(長くなるので)。


私は、ジャンルは完成した物に対して、後で各々が感じ取れば良いと思っています(しかし、ジャンルが明確な方が探しやすいし勧めやすいというのはあるでしょう)。
ただ、本格ミステリはジャンルであり、同時に型でもあるのかな、と考えています。