夏の小袖

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『名前』を観ました

映画『名前』を観ました。使ったのはamazonのprimeビデオです。

『名前』は小説家の道尾秀介氏が原案を書いた映画で、主演は津田寛治氏と駒井蓮氏。
様々な偽りの名前や経歴を使う主人公(津田寛治)のところに、正体不明の女子高校生(駒井蓮)が現れ、段々とその二人が交流をしていく様子が描かれます。やがてそれぞれの過去や秘密が明らかになっていく訳ですが、そのあたりはミステリやホラーを書いている道尾秀介の原案ですから、一筋縄ではいきません。

二人の関係や過去の描き方、そして周囲の事情が、段々と謎を醸し出していきます。この映画がミステリかは不明ですが、伏線を張りながら徐々に情報が提示されて違和感が浮かび上がる構成は、観ていて引き込まれました。

一番最後のセリフは、観ていたときには驚きました。ミステリ的な驚きというより、映画の構成をそう締め括るのか、と思ったのです。しかし観たあとで振り返ってみると、あの場面ではあのセリフしか無かったかな、と思います。ただ、別の言い方があると思われる方もいらっしゃるでしょう。

映画の構成はミステリ的とも言えますが、本体は人同士の交流を描いた、ヒューマンドラマです。私は観終わったあと、登場人物のその続きを想像せずにはいられませんでした。

『名前』は、名前を偽る人の物語です。ただ、偽られているのは名前だけではありません。大概の人は、どこかで何かを偽って生きているでしょう。